ドッグラン・チャンプへの道〜その１

「ひな祭り」の３日、ウィーンでもようやく春の足音を聞いた。
青い空からこんなにたくさんの陽が降り注いだのは何カ月ぶりだろう。
「行くか、ロイ」
「ドッグランだね、父ちゃん」
カズも一緒に準備ＯＫ。気合い入ってます。

さて、きょうの面々は…。

やばっ。宿敵、メスのオーストラリアン・シェパード（左）「ガラ子」ちゃん（仮名）の発見。
その巨体と超パワフルな突進力で、きのう何度も「ひかれた」ばかり。
めちゃ怖そうなおっさんもいるし、こりゃ前途多難だわ。
さっそく群れから離れるロイ。「君子危うきに近寄らず」。

でも、ガラ子ちゃんはロイが大好き。
いきなり後ろからアターック。

「キャイン」。この日最初の泣きが入る。
でも、このごろのロイは意外にしぶとい。
果敢に反撃を試みる。

「ちょっとあんた、やる気なの」。ガラ子ちゃんの顔色が変わる。

「おう、やったろうじゃねえか」。ロイの反撃なるか。

「ちょこざいな小僧め。あたしに逆らうなんて２カ月早いわよ」。ガラ子ちゃんのパワー炸裂。

ものすごい張り手でロイぶっ飛ぶ。

「立て、立つんだ、ロイ」

あっ、逃げた。

「ふ〜。ったく最近のガキは…。くたびれた」

「あっ、撮ってたの。いやね」。すかさず表情を改めるガラ子ちゃん。やっぱ女の子だね。

「チャンプへの道は険しいなあ。トホホ」。

落ち武者となってドッグランをさまようロイでした。（続く）
ＢＹロイ
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