母ちゃんがいないので、家事が大変だ。
ちょうどイースター(感謝祭)休みのまっただ中。
母ちゃんはいないのに、手のかかる子供は二人とも家にいる。
食事、洗濯、ロイの世話……。
主婦の仕事はホントに大変なのだ。
まず、朝、子供たちが起きない。
この間に家中の窓を開けて換気し、
続いて、ロイの朝飯をつくり、
そして、洗濯機を回す。
ロイのハウスの出口を開けてやると、のっそり出てくる。
そのへんにしでかす前に、素早くトイレシートを交換。
ロイは、それこそ「あっ」と言う間に朝飯を平らげ、盛大にしぶきを飛ばしながらシートを濡らす。
ここですかさずもう一度シートを交換。
こうしないと、おしっこで汚れたシートの上ではウンコをしないからだ。
よし、準備完了、
と、思ったら、既に臭っている。
脇でやっちゃったのね。今朝はお早いこと。
次ぎに子供の朝飯、というかブランチ。
フライパンに広げた薄切りハムの上にチーズを載せ、たまごを落とす。
落としぶたで蒸らしてできあがり。
作り置きの特製野菜スープに、レンジで少しだけ温めた黒パンを付けてパクつく。
昨夜のうちに回しておいた食洗機の中身と、洗い終わったばかりの洗濯物は子供たちが処理する。
私はプライパンを洗い、残飯をまとめてゴミに出す。
どっと疲れてコーヒーを口にするころには、昼近くになっている。
母ちゃんがいれば、とっくにデスクの前に座って一仕事終えている。
コーヒーなんて、自分でつくることは滅多にない。
やっぱ、母ちゃんはえらかった。
一日はまだ始まったばかり。
これから、昼飯の準備して、買い物して、ロイを散歩に連れて行って、夕飯をつくって……。もうダメ。
仕事なんてできないから。
と言うわけで、今夜は外食にした。
子供たちに何を食べたいか聞いたら、焼き鳥がいいと言う。
ダメもとで言ったらしいが、疲れ切った私は家事から解放されるなら、もう何でもいい気分。
まずは、皮と砂肝を塩で。
ビールがうまい。
ネギマよりツクネより、皮と砂肝が大好きな子供って、ちょっと変?
続いて、イカ納豆、マグロと山芋の短冊。そして激辛タコ揚げ。
このお店にいると、ここがウィーンであることを忘れてしまう。
日本の居酒屋の味とほとんど変わらない。というか、もっとうまい。
お客さんは日本人よりもむしろ、現地の人の方が多いくらい。
もちろん、ロイも一緒。
ロイがお邪魔すると、お店の方もお客さんもみんな笑顔で迎えてくれた。
ありがたい。
疲れた体にビールが染み込む。
夜はカズと一緒にベッドで本を読みながら夜更かし。
たまには主夫もいいけど、毎日はちょっと無理。
母ちゃん、早く帰ってきてくれ〜。
BYニック