小学生のころからよく喫茶店でコーヒーを飲んだ。
酒を一滴も飲まない父は、毎日必ず喫茶店に通うほどのコーヒー好きだった。
そんな縁あってか、カフェ文化が根付くウィーンで暮らすことに。
暇さえあれば、あちこちのカフェへ出入りしている。
お気に入りはこちら、旧市街(1区)の「カフェ・アルト・ウィーン」。
この猥雑で怠惰で煙ったい雰囲気がたまらない。
10年前にタバコをやめたが、やっぱりコーヒーにタバコは付きもの。
店内は真ん中で仕切られ、一方は禁煙室。私は吸わないのに喫煙室。
で、三男カズ。
もう11歳なのに、いまだ「ハイス・ショコラーデ」(ホット・チョコレート=ココアみないなもの)。
17歳のタクはこのごろ、サテン(カフェ)に付き合わない。
親より悪友か?
まあ、いい。
どうせコーヒーの味なんか分からないんだから。
アルト・ウィーンによく雰囲気の似た旧市街中心部の「カフェ・ハベルカ」もいい。
店内にベタベタ張られた古いポスターがいい味を出している。
こちらは全室禁煙。10年7月に分煙法が施行された時、ウィーンのカフェは完全禁煙か分煙かを迫られた。
ハベルカは「カフェ文化がすたれる」と禁煙に猛反対したが、結局、禁煙に。喫煙ルームを設けるほどのスペースが無かったからだろう。
もっとも、暖かくなればテラス席がつくられ、愛煙家は屋外でもうもうとやることになる。
もう一軒のお気に入りは、アルト・ウィーン近くの「カフェ・ディグラス」。
アルトやハベルカとはうってかわり、明るくカジュアルな雰囲気。
甘さ控えめのケーキがおすすめ。
私は酒も飲むが、甘い物も大好きだ。
甘い物に、ホイップクリームを載せたメランジュは欠かせない。
クリーム自体は甘くなく、コーヒーの苦みを殺さない。
小さな銀のお盆の上に、水を入れた小さなグラス。グラスの上に小さなスプーンを載せるのもウィーン流だ。
ウナギの寝床のように奥が深いお店には、こんな座席も。
自分だけの書斎みたいで読書にはもってこい。
ウィーンのカフェでは、コーヒー1杯でどれだけ粘っても嫌な顔をされない。
暗くて寒いウィーンの冬には、カフェでまったりがぴったり。BYニック
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